推理小説の誤訳
「推理小説の誤訳(古賀正義 著)」を読みました。1983年に出版された本ですが、2008年に文庫化されたものです。
この本の存在は以下のブログで知りました。
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/1_c33c.html
I paced up and down the room, humming a tune under my breath to keep up my spirits and feeling that I was thoroughly earning my fifty-guinea fee.
という文の earn の意味を6種類の翻訳すべてが誤訳しているというのです。詳しいことが知りたくて本を買いました。
earn というのは、単に "かせぐ" とか "儲ける" といった意味ではなく、"ひたいに汗してかせぐ"、"労働の対価に相当する金を受けとる" という意味なのだ、と書かれています。
この本を読んで、いろいろな辞書で earn の意味を確認しましたが、いまだに十分に理解できているとは思いません。それほどレベルの高い誤訳指摘だと思います(わたしのレベルが低いだけでしょうけれど)。
本書は、クリスティーの推理小説の翻訳書を中心に、単語・熟語レベルの誤訳を辞書的にまとめたものです。ひとつひとつの項目を辞書で確認しながら読むと、かなり時間がかかります。辞書を引くことの大切さ・難しさを痛感させてくれます。最初はずいぶんと細かい誤訳指摘だという印象を持ちましたが、読み終わってみると、とてもいい本だと思いました。ここで指摘されているような内容を、注意して辞書を引きながら訳しても、はたしてどれだけ正しく訳せるだろうかと不安になります。言われてみれば確かに辞書に載っていますが、載っているよと教えてもらいながら、その項目を見つけるだけでも大変でした。
著者の本職は弁護士とのことですが、これだけの英文読解力をどうやって身につけたのでしょう。「文庫版まえがき」に、年に3万ページ、1983年版の執筆時までに25年にわたって読書を続けてきたと書かれています。やはり読書量がものをいうのですね。わたしが今までに読んだページ数は、せいぜい 400ページ×100冊=4万ページ でしょうか。著者の1年分程度では歯が立つはずはありません。年に10冊くらいは読むように努力したいと思います。


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