名詞節を導く接続詞thatの省略
名詞節を導く接続詞thatについて「ロイヤル英文法」には次のように書かれています。
-------------------------------------------------------
(3) that節が目的語の場合
[注] 1. that の省略:口語では that は省略されることが多い。省略についての特に確立したルールはないが,I think[hope,say]などのように日常よく用いられる表現では,この部分が that 節の内容に比べて意味が軽いと考えられるため特に省略されることが多い。これらの動詞には強勢が置かれない。
-------------------------------------------------------
そういうものだと思っていました。ですから、「<英文法>を考える(池上嘉彦)」の以下の説明を読んだときはショックを受けました。
-------------------------------------------------------
(47) a) The forecast says that it's going to rain.
b) The forecast says it's going to rain.
・・・
アメリカの言語学者, ボリンジャーの『形式と意昧』という書物の中では, 上の例が挙げられていて, 少し敷術して言うと次のような違いがあると説明されている。例えば, 今ある部屋にジョンとメアリがいる。天気がこれからどうなるかということが話題になって, ジョンがラジオの天気予報を聞いてくると言って別の部屋へ行く。そして, 聞いた後, 部屋に戻ってきてメアリにそのことを報告する --- こういう状況設定であったら, ジョンの用いる言い方は a) となるであろう。それに対し, 今度はメアリが一人いる部屋にジョンが入ってきて, たまたま別の部屋で自分が聞いた天気予報のことに言及してメアリに話しかける --- こういう状況設定であったら, ジョンは b) 型の表現(つまり, 接続詞 'that' を含まない方の表現)を使うであろう, というのである。
・・・
上の二つの状況設定の違いは, いくらか一般化して言うと, 述べられることがすでに <話題> として --- つまり, <話し手> ととりわけ <聞き手> にとってそれと分かることとして --- 存在しているかどうか, ということに関わっている。第一の場合では, ジョンとメアリはすでに天候のことを二人で <話題> としていたわけである。ジョンの報告はその後で出てくる。第二の場合では, 二人の間にまだそのような <話題> は登場していない。ジョンの報告はいわば天候に関することを <話題> として新しく持ち出しているわけである。ボリンジャーの説明では, 名詞節の内容が <話題> として <既出> の場合は接続詞 'that' が伴なわれ, <話題> として <新出> の場合は接続詞 'that' を伴なわないというのである。
-------------------------------------------------------


Comments
thatの省略について、調べていて、貴HPを拝見しました。
よく勉強されていると思います。thatの有無について新知見を得ました。ありがとうございました。
蛇足かもしれませんが、三上文法を適用して、aとbを訳せば、
a. The forecast says that it's going to rain.
天気予報は雨だと言ってるよ。(主題-解説)
b. The forecast says it's going to rain.
天気予報が雨だと言ってるよ。(「全体が」解説)
ということになると思います。
Posted by: 永井津記夫 | October 10, 2005 at 05:08 AM
永井さん
コメント、ありがとうございます。私のブログが少しでもお役にたてれば嬉しいです。
三上文法は、「象は鼻が長い」を読みかけて挫折したので理解できていません。あらためて読んでみようと思います。
ただ、"The forecast says ..." を翻訳することを考えると、「天気予報は(が)~言っている」と訳すケースは少ないのではないかと感じています。「天気予報だと雨になるようだ」というような訳で、原文にある既出・新出という概念は日本語では消えるのかもしれないと考えています。
Posted by: 英語と格闘 | October 10, 2005 at 03:37 PM